楽しむ人。

先日のこと。

大事な打ち合わせがあったのですが、

ちょっとしたことで予定が狂い、遅れそうに・・・。

 

電話を入れて遅れます、と言うこともできるけど、

タクシーを飛ばせば間に合うなあ。

一瞬迷った結果、タクシーを拾いました。

 

タクシーの後部座席で座りながら、心の中で自分に悪態をついていました。

「読みが甘い。なんでこんなギリギリの時間で移動する予定を組んだんだ。」

たぶん、眉間にしわも入ってたと思います。

 

タクシーが大きな交差点の信号で止まりました。

運転手さんがクルッと私を振り返って、満面の笑みでこう言いました。

 

「お客さん!この車ね、今日初陣なんです!

新車!今日がね、初陣なんですよ、う・い・じ・ん!!」

 

「え。・・・ああ、それはなんだか縁起がいい感じですね。

そういえば、珍しいデザインのハンドルですね。」

 

「でしょ~。このハンドルの車はなかなかないんですよ。

さっきね、ホームセンター行って、このハンドルに付け替えてきたばっかり。

休憩時間返上で探しましたよ。

で、新しいハンドルに変えて運転しだしたらお客さんが手を揚げたからさ~。」

 

運転手さんにとっては、仕事の環境が新しくなったばかりだったのです。

面白いなあ、と会話を続けることに。

タクシードライバーとしての仕事は前からやっていることだけど、

車種が変わって、やっぱり今日はとても神経を使っていること、

そのせいで今日はいつも以上に疲れてしまったこと、

でも、新車がとってもうれしいこと、

ハンドルをお気に入りのものに変えたことで、明日の朝は待機場にたくさん並ぶタクシーの中から自分の車をすぐに見つけ出せるようになること、

タクシードライバーという仕事が好きなこと・・・、

など短い時間でいろんな会話をしました。

 

目的地に近づく頃には、わたしの気持ちは落ち着いていました。

「運転手さん、ありがとうございます。

さっきまで時間に間に合わないかも、とイライラしてたんです。

でも、こうやって仕事を楽しんでる様子を聞いてるうちに落ち着きました。

楽しんで仕事をしている人には、いろんな人が集まってくると思います。

だから、きっとこれからも商売繁盛しますね。」

 

と言うと、一瞬びっくりしたような表情をされてましたが、また笑顔に戻って

 

「そうですよね。楽しまんとね。私もそう思います。ありがとうございます!」

 

「楽しんでる人」は特別なことをしなくても、

そこにいて「その場を楽しんでる」だけで、周りの人の気持ちを明るくしてくれますね。

身をもって体験させてもらいました。

最近新しいことについていくのに必死で、楽しむこと忘れがちだったなあ・・・。